2006.2.11(土)毎日新聞日刊「健全なM&Aは必要」

新聞記事の抜粋。株主至上主義に関して考える際の参考に。

京都市国立京都国際会館で開かれていた「第44回関西財界セミナー」(関西経済連合会関西経済同友会主催)は10日、前日に続く分科会とパネル討議、セミナーとしての合意事項の採択などを行い、閉幕した。
2日間の議論は、国家ビジョンや地方自治論のほか、株主至上主義に起因するマネーゲームと企業倫理を巡って沸騰。キーワードの一つになったM&A(企業の合併・買収)を巡る論争では、当初目立った否定的な見解の一方、事業の選択肢を広げる「健全なM&A」を通じた企業価値の創造は重要だという方向で収束した。
午後からのパネル討議では、町村信孝・前外相、木村良樹和歌山県知事、劇作家・評論家の山崎正和氏の3人がアジア外交や教育論、大学論について意見交換した。
さらに、合意事項の採択後、顧問団を務めた大阪、京都、神戸3商工会議所会頭が「企業は社会の公器。安全・安心のモラルが欠落した事件が多発しているが、企業は深い倫理観を持つ必要がある」(野村明雄・大商会頭)と所感を述べて閉幕した。
閉会後、会見した関西経済連合会の秋山喜久会長は「バブル崩壊後の十数年、市場主義に振れ過ぎていた反省があったが、景気回復の中で日本的経営への方向性がつかめてきた。国際的な競争に勝つには健全なM&Aも必要という共通認識だ」などと語った。【高田茂弘】

<関西財界セミナー合意事項骨子>
1、近隣諸国との関係改善に取り組み、東アジア自由経済圏戦略を進める。
2、道州制のあり方について積極的に発言し、関西州実現へのステップとして関西広域連合の早期設置を推進する。道州制による分権国家の明記を目指す。
3、理念なき株主至上主義や利益市場主義に陥ることなく、多様なステークホルダー(利害関係者)との関係を重視し、企業の社会的責任を果たす。健全なM&Aで新価値を創造する。
4、教育基本法改正など教育制度見直しで人材育成し、職業意識の醸成から若年層の自立を促す。