2005年8月6日オステンド

ブルージュから列車で15分揺られ、オステンドへ向かった。駅前には人が並んでベンチに座っているようなベンチがあった。信号を渡った所には個人の所有物らしいヨットがずらりとあった。町をぶらりと歩いていると教会があったが埃っぽく、楽器博物館での悪夢を思い出して私はすぐに出た。そのすぐ傍にアートギャラリーがあったので立ち寄ってみた。画家だというマダムのギャラリーで彼女が所有している他の有名な画家の作品も数点あった。祖母はそのマダムと会話をしていたが、黙っている孫3人娘に対して、マダムはなぜ英語を話さないのかと疑問を抱いたようだった。傍からだと聞き取りはそこそこできたが、はなせと言われるとどんどん気持ちが内向的になっていった。勉強しろと言われたらしたくなくなるような気持ちで。行きの飛行機では通じているかも確認できない会話で楽しかったように、言われなかったらできるのに…と内心拗ねてしまった。いけない。ブルージュの駅までの途中で見た土曜の朝市が気になったので、オステンドの滞在はそこそこに、ブルージュへと戻った。朝市に出くわしたのはラッキーだ。ミニワッフルのようなものを購入。並んでいる間に犬が傍にきた。飼い主と目が合ったので微笑みながら犬を撫でようとしたら、渋い顔で首を横に振られた。国によっては赤ちゃんの頭を撫でるのはいけないことだと聞いていたから、それと同じような意味間合いで嫌がられたのだろうか。随分ショックを受けてその後も気持ちを引きずってしまった。ランチはオープンカフェテラスでハーブマーガリン付きの固めのステーキを食べたが、横のカフェにいた犬を見るとなんだか泣けてきた。先ほどのショックと我が愛犬の姿が重なり合い我慢ができなくなってしまったみたいだ。その後マルクト広場にいくと、様々な大道芸が繰り広げられていた。広場の手前の道ではスプレーで絵をかく人がいた。最初は何を描いているのかわからないのだが、彼の頭の中では構想が練り上がっているようで手はとまることなく作業が進んでいく。見入っているとあっという間に宇宙を思わせる絵が完成していた。一枚10ユーロで売っていたが、すぐさま男性が購入していた。私は感動料として財布にあったコインを投入した。「グラシアス」とお礼を言われた。こちらこそ。広場で繰り広げられていて最も目をひいたのはマリオネットのパフォーマンス。音楽に合わせてユーモラスに人形が動く。子どもたちにちょっかいを出してみたり。人形は笑いを誘う動きをするのに動かすおじさんの目は真剣そのもの。そのギャップに私はひそかに注目したり、おじさんがマリオネットになって動いている様子を想像して楽しんでいた。そのイメージは帰国後作成したスケッチブックのアルバムに密かに描いた。その後366段の鐘楼にのぼった。どうも急に気分が内向的になって、黙り込んでしまったので従姉妹二人には申し訳ないことをした。のぼりきった後の景色は最高だった。ぼーっと眺めた。晩ご飯はスーパーで買ったもので済ました。