8月2日ブリュッセルとアントワープ

朝食までの時間、少し散歩することになった。天気は良好。肌寒い。セルクラエスの像は左から右に触ると幸せになれるそう。通勤途中の様な男性も前を見ながらルーティンワークさながら、ごく自然に触って過ぎ去った。小便小僧は、こんなところにあるんかぁーって感じだった。壁にベルギー出身のマンガ、『タンタン』が描かれていた。マンガ博物館があるらしく、行ってみたかったが、時間がなく行けなかった。グランプラスに戻ってもまだ朝食の8時になっていなかったので、市庁舎まえの花が「アオイ」だと祖母に教わったりだとか、清掃に頑張る緑の車を眺めてみたりだとかしていた。やっと訪れた朝食の時間。ハムとチーズが並び、薄めの食パンとクロワッサンとオレンジジュースが運ばれた。コーヒーか紅茶かを尋ねられ、それにはGODIVAのチョコが添えられていた。得した気分。
この日は主にアントワープへ行くことになった。予めベネルクスならどこでも好きな5日間乗り放題のパスを手配してもらっていたので、列車での旅となる。東洋人が殆どいないので、周りも観光客だとしても、どうしても私たちは目立ってしまう。はじめは多少緊張した。世界の車窓からのテーマソングを頭の中で流している余裕もなく。とある駅についた時、拙い英語力ながらも、何かしらここでのりかえろと言っているような気がした。祖母にきいたら次の駅だというので、「ほんまに?」と繰り返しながらも扉が閉まってしまった。その後少しはなれた席から祖母がきて、さっきの駅で乗り換えるんだったらしいと伝えてきた。おそらく隣の席の人にでも尋ねたのだろう。とりあえず次の駅でおりて戻ることにしたが、なかなか止まらないので不安になってきた。次の駅がどこなのかわからなかったからだ。なんやかんやしながら、やっとこさアントワープセントラル駅に到着。非常に美しかった。アールヌーボー。公衆電話がずらりと並んだところに、立体の大きくて赤い「A」というアルファベットが置いてあった。駅を出てからも「A」がトラックに積まれていた。いったいなんなのだろう。「Antwerpen」の「A」?? 昼ご飯はヘルシーなマカロニと野菜のランチ。旅行中は野菜が体に染み渡る。
そして遂にノートルダム大聖堂へ到着。ここは『フランダースの犬』のラストシーンに登場したことでも有名。実はこのアニメを見ていない私なのだが、ラストシーンは色々な番組で何度となくみたことがある。美しいステンドグラスにも感動しながら、時間も時間であったのでタクシーで次の目的地である王立美術館に向かった。祖母が疲れたし、一度来たことがあるからと、座って外で待っていると言っていたので、ダッシュで見ることにした。それもあって実はここでの思い出は「疲れた」くらいである。。しかもブリュッセルの王立美術館と間違えて、ここにマグリットの作品があると思って探してしまっていた。
王立美術館の前にはかわいいメリーゴーランドがあっておもわず駆け寄った。しかしよく見ると、なんと不気味な乗り物なのでしょう。リアルな魚や、ダチョウ、人の足、、そんなものに無邪気に乗っている子どもたちに違和感を覚えた。とはいえ、それが面白くもあった。
帰りもブリュッセル中央駅でなく、北駅におりてしまい、疲れが倍増。一度ホテルに戻ってから、近くにある『ガレ』で一個ずつチョコレートを購入して食べた。晩ご飯はホテルのすぐ下に位置するベルギー料理のお店へ行った。ここはガイドブックにメニューも載っていたので安心だと思っていたのだが、日本人用のメニューを出してもらえた。郷土料理に舌鼓、と言いたいところだが、あまりの量に悪戦苦闘だった。祖母の希望であったムール貝に関しては、他の従姉妹二人が苦手だというので、好き嫌いの殆どない私が祖母には「私好きやから」と言いながら二人を助けるためにも頑張った。バケツ一杯つらかった。従姉妹にはヒーローのように映ったようだが、祖母からしたらただの食いしん坊に映っていたりして。おまけでついてくる大量のポテトや、ブーダンについてくる「スツゥンプ」を食べるよりは幾分楽であったし、実際海鮮類は好きなので良かったが。恥を捨て、観光客丸出しでガイドブックのビールを差しながら、お店にあるビールを聞いて、あるというものを「じゃそれで!」とオーダーした。ビールの種類なんて聞いたところで分からないですもの。私がオーダーしたのはランビックという種類でサクランボを入れて再発酵させた甘く美味しいビール。お店を出て市庁舎のライトアップを見た。ライトアップの前に、ちょっと怖い女の人の声の歌が流れ始めた。昨晩聞こえていたのはこれだったのか。ライトアップされると人々は「ブラボー」なんて拍手しだす。日本ではない光景。その後、ホテルの人と会話した。日本語は無理なものの、多くの言語をはなせて、歴史などにも詳しい。その内容の詳細は忘れてしまっちゃったが、なぜベルギーではフランス語とオランダ語公用語としているのかという背景も教えてくれた。また、このライトアップはお金がないので2年に一度だけとても豪華で、今年は地味な方だということ、などなども教えてもらい、有意義だった。