それぞれの意味と関係

何度か書いているような気がするが、企業メセナCSRフィランソロピーはそれぞれ関係はあるのだけれど、どれもはっきりとした定義がなされていないのでこれからじっくり研究していく必要がある。
企業メセナ

(企業メセナ協議会HPより http://www.mecenat.or.jp/about_mecenat.html#about_mecenat
日本では、1990年に企業メセナ協議会が発足した際、「即効的な販売促進・広告宣伝効果を求めるのではなく、社会貢献の一環として行う芸術文化支援」という意味で「メセナ」という言葉を導入し、一般に知られるようになりました。その後、マスコミなどを通じてこの言葉が広まっていく過程で、教育や環境、福祉なども含めた「企業の行う社会貢献活動」と、広義の解釈でも使用されるようになりました。

何度も目を通していたつもりだったが、意外と最後の一文を見逃していた。企業メセナの定義を一言で言うと「企業による芸術文化支援活動」と今の今まで思い込んでいたが、現在はもっと広義で使用されていることが分かった。確かにメセナの事例を見ているとそうである。しかし、「メセナ」と表現される場合においては今の所「芸術」「文化」に特化した支援活動を指している方が多いように思える。

フィランソロピー

(企業メセナ協議会HPより http://www.mecenat.or.jp/about_mecenat.html#about_mecenat
営利を目的としない社会貢献・篤志活動。スポーツ、学術研究、環境保護社会福祉、災害救援、健康・医療、教育、地域振興など様々な分野で、個人や団体が寄付やボランティア活動をしたり、人材・製品・技術・場所・サービス・情報等を提供したりすること。メセナもその一つとして取り組む企業が多い。

フィランソロピー論の講義内での説明(たしか、経団連編「企業の社会貢献ハンドブック」参照だったと思う)
企業等のCSR(社会的責任)。企業等というのは、大企業だけではなく、学校法人、有限会社、社会福祉法人なども含む。

この用語解説を参考にするとフィランソロピーは(企業)メセナよりももっと大きな概念と思われる。講義内の先生の説明によると、企業の大小に関わらず、また、個人であろうと篤志活動を行う事をフィランソロピーと言うそうだ。例にだしていたのは歌手の森進一氏によるじゃがいもの会もフィランソロピーであるという。活動を行う主体、範囲、それがメセナよりも大きな概念がフィランソロピー、と現段階では位置づけたいと思う。

CSR

(企業メセナ協議会HPより http://www.mecenat.or.jp/about_mecenat.html#about_mecenat
企業の社会的責任。環境、福祉、人権などに配慮し、企業が、社会を構成する企業市民としての責任を果たすこと。

文面だけみると、どれも違いがないように思える。CSRは業績には関係なく果たすべきことであるが、メセナは業績に左右されてしまうということが以前挙げた本に書いてあった。このことと、本日講義で聞いた「フィランソロピー=CSR」が絶対正しいのであれば、「企業メセナ」と「フィランソロピー」はイコールでは結べない事になる。なぜならば「フィランソロピー=CSR」となるとフィランソロピーも業績に関係なく行わなければならないからだ。フィランソロピーは決してお金をだすことだけではなく、持っている資源を活かしたものでいい。資生堂が老人ホームの年配のご婦人方に身だしなみ講座(化粧品を用いて)を実施しているのはその例である。

(追記)この3つに共通する概念が「企業市民」である。

(企業メセナ協議会HPより http://www.mecenat.or.jp/about_mecenat.html#about_mecenat
企業市民【corporate citizenship】
企業も個人と同様に社会を構成する一員であるという考え方。社会に対して大きな影響力を持つ企業は、貧困や福祉、教育等の社会の課題解決に積極的に取り組むべきであり、「よき市民」として社会に貢献し、その発展を支える義務があるとする。

似ているけど、同じではない、けれど決して別物ではない「メセナ」「CSR」「フィランソロピー」の3つを繋いでくれるのがこの「企業市民」という考え方だろう。そして、メセナ等の必要性を簡潔に説明できる概念だと思う。
あくまでも私の分析なのでこれが正しいとかいうわけじゃないですが、現段階での見解です。ご意見ありましたらお願いします。