2005年9月23日 姫路市立美術館 没後20年水越松南展

姫路市立美術館http://www.city.himeji.hyogo.jp/art/
今回は自ら行きたいと思ったわけじゃなく、父が行きたいというのでそれに便乗して、付いていった形。この方のことはつい最近まで存じ上げてなかった。私がジャンコクトー展へ行って来た日、父が「昔近所にジャンコクトーに賞賛されたおじいさんが住んでいた」のようなことを言っていたことを少し思い出した。夕方のバイトまで時間があったので行くことに。しかし姫路は遠い。交通費も非常にかかる。電車代往復だけで両親と私の三人で6000円程かかった。

没後20年 水越松南展 Mizukoshi Shonan
飄逸(ひょういつ)にしてモダン!こんな画家がいた。

9月10日(土)〜10月23日(日)

 水越松南は1888(明治21)年に神戸市に生まれました。父成章は姫路藩士で、漢学者でした。画をこころざした松南は京都で谷口香キョウ*に師事し、後には京都市立美術工芸学校、京都市立絵画専門学校(現京都市立芸術大学)に学びます。この間に写実主義に疑問を感じて、富岡鉄斎後期印象派の影響も受けています。
 1921(大正10)年に日本南画院が京都の青年作家らを中心として結成されると、これに参加し、第1回展より1936(昭和11)年の解散まで出品を続けます。第10回展出品の「化粧」はアンドレ・マルローに激賞され、第15回展出品の「虎穴図」はジャン・コクトーを魅了するなど、形式にこだわらない奔放な筆致は様々な人々から賞賛されました。
 戦後は美術団体に所属せずに日本国際美術展などを舞台に発表を続けましたが、その画風はますます飄逸さを加えたものになってゆきました。日本南画松声会を結成し、後進の指導にもあたりました。本展は松南の没後初めての個展であり、没後20年を期して開催いたします。
*キョウの字は山に喬と書きますが、インターネットで一般的に使える文字ではないのでカタカナ表記しています。

水越氏の写真を見ながら父は「そうそう、この格好でいつも家の前ホウキで掃除してはってん」と言っていた。周りの人の会話を聞いていると同じような動機で来ている人は少なからず、いた。
実は行くまで、いわゆる日本的な水墨画だと思っていてあまり興味がわかなかった。ジャンコクトーを魅了したという虎穴図だけが気になってきたようなものだった。しかし、彼の作品は形式にとらわれたものではなく、伝統の芸術を一歩先に進んでいるようだった。虎穴図をはじめ、おさるさんなど動物を描いているものはチャーミングで見ていて面白かった。虎は肉球はプクプクして毛はフサフサして…しばらく立ち止まって観た。今日思ったのは、やっぱ絵は自由でいいよなということ。写真のように正確に描かないと下手、と評価が下るとか、そういうのって考えると息苦しくて私は好きじゃない。自由に動き回る虎たちに、私は少し励まされた気分。
建物は古く特別綺麗といったものではない。姫路城のすぐ近く。今日は蒸し暑く、駅までの距離が堪らなかった。