市場に任せられない理由

授業レジュメより

芸術の公共投資、その根拠づけ理論"市場(マーケット)に任せなれない理由"
『なぜ』
1、遺産説(結構古い説)→将来の世代に残す
2、威信→誇り 地域アイデンティティ
3、波及→地域経済への波及効果
4、イノベーション→社会、経済への革新的効果 創造都市論、新サービス産業のヒント
5、社会批判→市民形成の基点 社会の在り方変革

『どのように』
6、地域差の解消
7、障碍の克服(身体的なこと以外にも”子どもが小さいから出かけにくい”等も含め広い意味で)
8、所得差の解消
9、体験差(とりわけ子ども)の解消(機会の平等化)→文化資本の格差を是正する
10、マイノリティの文化権保障

『なにを』何に対して公共投資をすべきかという一つの見解
→市場が成立するアーツには公的、メセナ的投資をする必要はない。(もし投資すると市場の混乱が起こる)市場が成立しないアーツに対して投資をする必要がある。市場が成立しないが、ほっておくとなくなる、しかしなくなってはいけないアーツ。市場が成立しないアーツの分類として「先端芸術」「限界芸術」。「伝統芸術」に関しては有名なオーケストラや能などは市場が成立するので必要ないが、「伝統を未来芸術の投資活用」としての投資なら良い。
有名な話で、ゴッホの作品も生前はほとんど評価されなかったように、アーツ(とくに先端芸術、限界芸術など)の評価は同時代の人にしにくいことである。わからないものに投資するのは難しいが、投資する必要はあるし、それを評価していく必要がある。また、支援する側も財団ならば投資の為に設立されているが、企業ならば本業があって、なぜメセナをするのかという議論から入る必要がある。
このようなメセナの評価(財団と企業の違いも含め)に関しては、メセナセミナーシリーズNo.5「どう考える?!メセナの評価」を参照したい。